オリンポスの女神 究極の進化形 ― 2022年03月18日 20時00分
あれから数日経ったある日。
一通の白い封書が届いた。
裏を返すと「高千穂峰・御凜蓮神社」の文字がそこに。
あのショッピングモールの隅っこにちょっとだけ置かれた小さな社。
流石にアレは無いと思っていたが・・・開封して中を見る。
年末や夏の大祓なら紙の人型でも入っていそうだが
中には遷宮と神事のお知らせの内容の紙が1枚。
なになに・・・
『高千穂峰・御凜蓮神社は、令和二年に一部分社を元社の場所に置く。
○○神社内に末社として遷す事が決定し、令和四年如月吉日に遷宮神事を行う・・・」云々とな。
折角の神事だ、これも何かの縁、一度参拝してもいい。
平成最後の神事も逃しちゃったしな。
電車に乗って、神社へ。
近くには旧街道から国道に変わった主要幹線。
それなりの大きな街だけど、都心とは違ってどことなく垢抜けてない。
駅から続く参道を見ると、大きな神社の様だ。
きっとその中に一緒に祀られるのだろう。
(写真はあくまでイメージです)
一礼すると鳥居を抜け、社を探す。
それにしても人がほとんどいない。
神事にしては、氏子の姿も見えない。
大社の少し前、四角いエリアが確保されているが
周りは注連縄で囲われ、紙垂(しで)が付けられている。
中央には、新御敷地の様に小さな小屋が置かれていた。
遠くに社務所が見えるが
白い看板が眼に飛び込んでくる。
む?
『末社造営・御凜蓮神社 遷宮神事は、感染防止対策のため、オンラインとなりました』
ゑっ、へええ〜〜?
ここまで来たのにオンラインですの? んじゃ、神事取りやめですの?
あまりもショックに何しに来たのか、自分でも混乱する。どゆこと。
続けて見ると、文章の先に小さく
「VR参拝と御朱印の方はこちらへ」と地図が示されている。
オンラインなら自宅でいいけど、なんとVRか。
とりあえず、地図を見て、進む。
するとプレハブでできた社務所だろうか。
入り口を中にはいる。
受付では、感染対策いや濃厚接触者関連として
連絡先や住所を書く事になる。うーむ、めんどい。
書くのを躊躇っていると、巫女さんらしき方に
今は空いているからと、中へ促された。
個室にしては大きなブース。
机にはVRゴーグルと、VRグローブか?
○にXと床に書かれた場所に立つと、音声が案内された。
指示に従い、VRゴーグルを装着。眼鏡でも大丈夫なサイズだ。
遠くで「それでは始めます」という声がして、VRゴーグルが起動された。
*************
真っ暗だったスクリーンが、全空間表示となった様な錯覚。
見ると、歩いてきた参道が前に続いている。その先には大社(やしろ)。
先ほどの「新御敷地」がズームアップされ、スポットライトが当たり始める。
遥か上空から次々と降りてくる太い柱。
垂直に立ち降りた後、木造の社が、次々に出来上がっていく。
○HKかなんかで紹介される、神社やお城の構造CGにもあるやつ。
XX大学建築工学科監修なんて言葉がどこかに入るのだろうか。
音響と伴に、組み上がっていく社、完成した後には後光の様に金色に輝いている。
ナレーションが「それでは参拝頂きます」と。
まるで自分が空間を歩いている様に、スムーズな移動と伴に
VR空間の社の正面に立っているかの様な映像だ。
「VRグローブで、鈴をお鳴らしください」ナレーションに誘われる。
目の前には麻縄が垂れており、その上には金色の鈴。
ゴーグル越しに、自分の手を確認し、VR空間の縄を掴み、揺らす。
リーンという音がゴーグルを通して、耳に聞こえる。
うーむ、なかなかこの映像演出は手が込んでる。
「それでは二礼二拍手を」再び促される。
リアルな現実では、自分がゴーグルを掛けたまま
部屋の真ん中の何もない空間に頭を下げているのだろう。
そんな事を思いながら、静かに手を合わせ、参拝をする。
何をお願いする?いや、お願いというより
神社が潰れず、遷宮された事を感謝すべきか。
ゴーグルの中で、自然に眼をつぶっていた。数秒、いや数十秒?
目を開けると社は消え、大きな、数100mある様な湖の中央に自分がいる。
遠くに陸地の様なものは見えるが、自分も浮いてるのだろうか?
快晴の空にも見えるが、雲の立ちこめている。
もしかした空にいるのかもしれない。
(空のイメージです)
静かに響くような声がする。
湖?いや蒼い空の中央に、小さく人が見える。
それが段々近づいてくる。いや自分が近づいてる?
白い衣に包まれた女性が、腕で胸を頂く様に佇んでいる。
このデジャヴ感は何?
「わらわを呼んだのは、おまえか」静かに声が響いてくる。
「?」黙っていると、また声が。
「わらわを呼んだのは、お主か?」それ私ですか?
VRゴーグル越しにキョロキョロする。
いや、こんな所に放りだされてもね。出口はどこ?
ふと、女性が腕を広げた後、静かに目を閉じながら
胸の前で、両手で輪を作る。SNSとかで流行ってる♥じゃないよな?○ですか?
「は、ハートですか?」答えない。
次に、両手の4本の指を揃え、親指は離す形に。翼を広げた様な形になったら
胸から腹部に下げて、こちらに向けてハトが飛ぶ様な形に?それMの形?
「手話?手話ですか?」
しばらくして、目を開くと、両手を重ね、真っ直ぐ目の前で合わせた。合掌?
「おうーえむーわん」わん、わん、わん(エコー)。おう・えむわん?
静かに女神は告げた。
「新しい器の名前は、『おうえむ・わん』」・・・はい?
「いや、ジェスチャークイズにしては、問題がイマイチだなぁ」つい呟いてしまった。
「た、戯け者っ」ドーンという音。雷鳴が響く。
いつもこれだな。
「これは『おうえむ・わん』の神事であるぞ」VRの続きだったのか?
女神はこちらのリアクションに意を介せず、続ける。
「我が社(やしろ)は遷宮し、この大社の末社として祀られる事になった。」
神事の説明ですね。
「新しい社に相応しい、究極の器を氏子や寄進するモノに与える事となった。」
ほうほう、寄進って一体?
「社造営に、寄進をお願いします。」急に殊勝な態度だな、しかもストレートだ。
これから建てる社の費用がやはり不足しているのだろう。
宮大工も少ないだろうし、材料となる木材も国産は厳しいだろう。
「寄進と言われても、その究極の器とはなんですか?」ついつい聞いてしまいます。
「究極の器とは、これまでの器を越えるカンワザを有した器ぞ」
カンワザ?神業?
「具体的には何を?」いちいち曖昧なんですけど。
「手間が掛かるやるじゃ。これを見るが良い。」
VR空間にふわふわ浮かぶ、PDFファイル。
「マイノリティレポート」のトム・クルーズよろしく、両手を使い拡大して見る。
おお、我がマーク2との比較も載ってるぞ。
大きな違いは、裏面照射形センサーと画像エンジン。
そしてISOもかなり高い領域までカバーされている。
お、ファインダーがついに有機ELになってる。
1053点オールクロス像面位相差クワッドピクセルAFって、舌を噛みそうな名前だ。
さらにAI被写体認識AFってえのも?
「実際どんな形なんですか?」女神に問いてみる。
すらりと立っている女神。ん?むむむ? そ、その胸の大きさは?
体に不釣り合いな胸の大きさ、助平の俺も気がつかなかったぞ。VRだからCGで大きくなった?
「あ、アイカップありますよね?」VRだってことをいいことに、普段口に出さない事を・・・。
胸を押さえながら、クルリと向こうをむいて、あわあわしている。なんかカワイイぞ。
「そ、そんなハズはない」少し困惑しているのか?
ごそごそやっていると思ったら、黒い筐体を持ってこちらに振り向いた。
そして、胸は、通常モードに・・。
「今回は、eyeカップなぞない。」キッパリと凛と答えながら、グイと差し出される筐体。
VR空間に映し出される映像。なかなか渋いぞ。マーク2の流れも組む、そのフォルム。
太いグリップだが少しデザインが洗練されている様にもみえる。
「AI被写体認識AFって?」こちらも聞いてみる。
「えっくすにも搭載された機能じゃ。鉄騎(バイクね)、機関車(電車だろう)、馬車(車な)も
一目でそれと判断し、追いかける仕組みじゃ」つまり、AFが追いかけてくれるのか。
「そ、それ走る巫女さんにも有効ですか?」
神社で巫女さんの後ろ姿を撮る時に有効なAI機能ならなお嬉しい。
巫女ハンター協会支部長としては、当然の質問だ。
「そんな助平を助ける仕組みは無い」目を細めてこちらを見る。やっぱな。
「それでは、馬はどうですか?」競馬場なら、競走馬ならどうだろうか?
「鉄騎が該当するであろう」バイクの方が早いかな。時速60kmくらいなら有効だろうか?
「それに・・」思わせぶりに続ける女神。
「それに?」問いただすワタクシ。
「今回は特別に『御凜蓮』の文字が入る事になろうぞ。」なんと特別仕様なのか?
「これが最後の銘になろう」少し悲しげな女神さま。
マーク3を見送ったとは言え、なかなか手が出そうにもない。
「なかなか、高額でしょうし、いや〜どっしようかな」少し遠くを見ながら呟いてみた。
女神は目を瞑ると、瞑想に入る。閉じた瞼の下で、目が動いているぞ。
「お主は以前、まあーく2を手に入れておるな。」検索名人には個人情報が垂れ流しだ。
「はい、しかし、OCP+で、シャッターユニットも交換したので、中身はほぼ新品です。」
・・・ちょっと間があいた。セールスに支障がでただろうか。
「しかし、究極の器じゃ。お主のイー⤴️M1とは次元が違うモノであるぞ」
なんで「イー」が少し上がって、間があいてから、「M1」て言いますの?
誰かの指示だろうか?
「これを逃すと、しばらくその機会は失われるぞよ」
どうしても寄進して欲しいのかな。
「いや、しかし寄進ってお布施なんですよね。いかほどなんですか?」単刀直入に聞いてみる。
クルりと女神は後ろを向いてごそごそしてからこちらに振り返る。
む、胸が増強・・・なぜソコに仕舞いますの?
「今であれば、1割ほど徳になろうぞ」少し微笑む女神。
寄進費用がVR空間に数字で示された。レジスターの効果音。
なんという価格。20万を超えてます。
「い、1割なんですか?なにかポイントがあったやうな」
どうしたんだろうポイント。
女神は再び目を閉じるとレム睡眠検索に。
「会員番号34XXXXXX。遷宮と伴に、そなたの割り札は抹消されておるぞ」
な、なんて?ポイント消えちゃったのか。しかも随分クールな扱いだ。
「じゃあこの価格、いや、お布施の費用は揺るぎないと?」
「他の銅鏡を得れば、お主の元に、後々、下付(かふ)があろう」
それキャッシュバックですやん。
「他のレンズは手に入れてしまっているので、なかなか難しいです」諦めるしかないな。
「すいません。今回は寄進に協力できません」仕方ない、断ろう。
「会員番号34XXXXXX。それではこの地図を持って行くが良い」え、地図?
VR空間に示されるマップ。境内とXに示されたのは何?
「お主はここに参るが良い。かならず寄進をするのじゃぞ・・・」
女神が小さく遠のいていく。
「今後は『御凜蓮神社』改め『大惠夢明神』と呼ぶが良い、サラバじゃ」
す〜と蒼い空間に消えて行く。
随分今回は、あっさり行ってしまわれた。
*************
VR参拝を後に、手元に印刷された地図を見る。
大参道に交差する様に、横にも参道がある広い境内だ。
大社から下り、十字路となった参道を右手に進む。
境内からそろそろ出てしまうと思われる所に、小さな店らしき建物が。
看板には「地図写真機」と書いてある。
昭和感満載のショーケースには、往年のオールドカメラが並んでいる。
これは、中古カメラ屋さんだろうか。
「ごめんください」少し古い扉を開け、神社から地図を貰って来ました〜と声を掛ける。
中から出てきた小柄な女性。どっかで見たような。
「お帰りなさいませ、ご主人さまっ」アニメ声ですけど、そういう店? ていうか君は?
「いや、帰ってきた訳じゃなんですけど」・・・これもデジャヴ感。
「『おうえむわん』のご検討ですねっ!」え、なんで分かるの?
「いや、どうしてソレが?」報連相システムが機能してるの?
「神社からいらっしゃったんですよね」そりゃそうでした。
「『おうえむわん』の手続きでしたら、お受けできまっす〜」元気よくアニメ声で答える。
「あ、やっぱり、カメラ屋さんなんだね」神社にカメラ屋とは?
「ちがいま〜っす。」違うんかいっ。
「ホントはお団子やさんでーす」え、そうなの?
「ウっソでーす。」つ、疲れるな。
真面目に聞くと、寄進受付所だとの事。
参拝、寄進された方は、神社から御神酒などを受ける場所の様だ。
しかしカメラが並んで・・・
「『おうえむわん』(←訛ってないか?)なら、この寄進料です〜」
示された費用は、さっきの女神と同じだ。
「それ、1割引きだよね。これじゃ変わらないじゃん。
「そうで〜す」く、喰えない。
「でも、いまなら、キャンペーン中ですっ」ん、なんの?
「今お使いの器を募集してまっす」マーク2の事か?
「はい。里子にするなら、大歓迎です」
「リコー?いや、持ってるのOLYMPUSです。」
「違いまっす。さとごに出してくださいって意味ですっ」く、喰えない。
つまり、下取りですよね?
「今なら、ワンプライス買取中。詳しくはWebで検索。」
そう言いながら、指を動かすんじゃないっ。
「そ、れ、とー」ハラが立つけど、アニメ声に馴染んで来たぞ。
「それと?」
「今なら、先にお触りできちゃいますよぉ」な、なんと♥
「え、そうなの。」こっちが顔を赤らめちゃうな。
「触っていいの?」手をヒラヒラしちゃったじゃん。
「ご主人さま、お戯れを〜。(スッと後ろに下がって)先取交換もやってまっす。」
「え?先取交換って?何?」
聞くと、下取りするにしても、新しい商品(器ね)が来てから
里子に出す商品を送れば良いシステムらしい。
先に来るから、お触り可能という訳か。ま、紛らわしいぞっ。
「つまり、価格は1割引きだけど、先取交換できるって事でオケ?」
「そうでございまっす」笑顔だけは、一流だな、こいつ。
胸のネームプレートには「デージー」の名前が、どこかで見たなこれ。
やはり究極の器だし、寄進すればもれなく手に入るらしい。
そうとなれば、手続きを進める。マーク2も5年使った。
寄進の受付表に名前を書いて、マーク2を先取買取にする。
追加で加えたバッテリーホルダーはOM-1ではもう使えないのだ。
「それではカード払いになります〜」どうやら先取交換はカードだけの対応だ。
いつも使うカードを出して、決済をお願いする。
「お客さま〜、決済が進みません〜。」なんとカードが使えないと?
「お客さま〜、限度額越えてませんかああ?」ちょ、それはないでしょ。
「いや、高額だけど、それを払えない限度額じゃないぞ」ちょっとクレームだ。
「わっかりました。担当の者を呼びまっす。失礼しまっす。」デージーさんは奥に消えた。
どうすんの、この手続き。
しばらくすると、ラピュタのムスカの様なヤツが、奥から現れた。
「如何されましたか?」いや、それ聞きますの?
仕方ないので、状況を説明。
「カードの限度額ではなさそうですね。ではもう一度。」
しかしカード決済ができない。これは買うなという事か?
「いや、他のカードでもやったけど、ダメですよ。システムの問題じゃ?」
いつも使っているカードだから、セキュアで止まっている様子だ。
「ちょっとお調べを。・・・お客様、エラーコードを見ますと・・・
一度、カード会社で調整が必要の様です。」淡々と説明するムスカ。
聞くと、新しい商品と下取り後の価格、2つの与信が掛かっている場合に生じる
セキュリティエラーであること。これは地図屋ではどうしようも無いと説明を受けた。
「今一度、お確かめ頂くしかありません。
手続きはこのまま保留と致しますので、後日、お願いいたします。」
ムスカめ、そちらのシステムの問題だろう。
しかし手続きを進めてしまっているから、キャンセルもアレだし
後は決済だけなのだけど、これではスムーズな寄進?ができない。
一度店を出た。
辺りは夕暮れになり、オレンジ色から少しずつ濃い青に変わっていく時間だ。
先ほどの辻に戻り、参道を下る。
神社を出る前に、芸能の神様が祀られている社が。
リアルで参拝してなかったじゃない。
写真もアートだし、芸能の神様に参拝しよう。
参拝が済ませると、右手に社務所が。
まだ灯りが付いている。
中を覗くと、巫女ではない、薄金色の生地に緑の襟の着物の女性が。
「ご寄進でお困りですね」静かに彼女は私の顔を見て呟く。
「え、そうです。折角寄進をしようとしたのですが・・・」
「皆さんこちらに立ち寄られます。さ、そこへ」小さな対面カウンターを案内された。
状況を説明すると、微笑みながら
「時折りこちらにそういう方々がいらっしゃいますわ」
どうも地図屋でのトラブルは自分だけでない様子だ。
「ワタクシの占いは、○○術、XX術、総合的に□□になっております」
いや、占いは売らないで下さい。
「ゑ、売らないは要らないです」ジッと私の頭の上を見つめる彼女。
「与信が二つ、中に浮いていますわ」
そ、それ正に、それ。ロック♪ろっくおお〜ん♪
な、何故分かりますの?
「それでは、ワタクシの方で、ごにょごにょ致しますから
お客様は、ご自宅にお帰りになり、オンラインで手続きをして頂きます」
「は、はい」疑心暗鬼だが、それでイイの?
「明日には、無事、ご寄進ができます事をお祈り申し上げます」微笑む彼女との会話は終わった。
ネームプレートには「三井住子」と書いてあった。
社務所を後に、帰路につく。
神職とすれ違う。紫の袴を着た神職だ。
一礼して過ぎ去ると、後ろから声が。
「そこのお主」懐かしい、いや1ヶ月ほど前に聞いた声か。
振り返ると、こちらを見ている神職。
薄暗いが、少し恰幅が良い。袴の前が布袋腹が。
「あ、はい。お疲れさまです」
「疲れるほど、働くな〜」湾岸署の和久さんですか?
「神事の帰りとみたな」グイと近づいてくる。
街灯に照らされた顔は、し、志熊老師?
「え、志熊老師、ここで何を?」
「見た事がある顔じゃな。」右から左からジロジロ見ないでください。
「ええ、前の神社があった、ホラ庭いじりをしていた時に・・・」
しばし考える老師、いや神主?
「そんな事があったかな。」たしかに貴方は飲んでました、焼酎を。
「こんな所で何をされているですか、コスプレですか?」
「こんな所とは何じゃ。こすぷれ?まあ似た様なものじゃが。」こんな所は失礼でした。
「あ、すいません。公園管理をされていたのじゃ?」確か藁しべ長者でマンションがどうとか?
「うーむ。毎日アレだと飽きてな。マンションを売り払って、引越じゃ」億ションを売ってですか?
「で、今は何を?」
「見ての通りじゃ」え、神職ですか。この神社、懐が広いな。
「神事の帰りじゃな、大惠夢の」な、なんで分かるんだ、テレパスなのか、やっぱり?
「そ、その通りです、凄いですね」この人タダモノじゃない。いや変な人だけど。
「その冊子じゃ」あ、さっきの店からOM-1のカタログを貰って、袋がないから手持ちだったわ。
「は、はあ」なんだ、テレパスじゃないんだ。
「で、寄進はしたのかな」少し真剣なまなざしでこちらを見る老師。
「はい、トラブルがあったので、ウチに帰ってからとなりますが」
カタログをジッと見る。ここまで来たのだから、手に入れたい究極の一品。
「うむ、そうか」襟に手をグイとツッコみ、カメラの様な品物を取り出した。
「持っていくが良い」え、何を?
「初代おうえむわんじゃな」鈍く銀色に輝く、オールドカメラ。
「いや、頂けません。それにフィルムカメラを買う訳には」流石にそこには行けません。
「神事の帰りじゃ。手ブラじゃ帰れまい」そんな、今日は優しいな老師。
「分かりました」カメラを仕舞う。
「む、売るでないぞ」な、なんで分かるのか、やっぱり?
「う、売りゃしませんよぉ」なんでバレたんだろう。
疑わしい目をしながら、老師が呟く。
「ヤマトじゃ」ヤマト?大和?
「ど、どういう事ですか?」
「3月18日になれば、分かろうて」そろそろ行きそうな、老師。
「ど、どういう事ですか」怖いぞ、このカメラ。
「神棚に飾っておくのじゃ。その時になれば、その中から一条の光と伴に・・・」
いや、それ宇宙戦艦の方ですから。
外装1枚の下に新造宇宙船を作るMADE IN JAPANの技術ですよね?
「初代おうえむわんの哲学を引継ぐのじゃ。撮れ、撮るのじゃ、想いのままに。」
「それでは、ご機嫌よう」深々とお辞儀をする、謎の志熊老師。
クルリと振り返ると、しずしずと闇に消えて行った。袴の腰には「瑞光」の金文字が。
神社も閉門の時間だ。すっかり暗くなった参道を下る。
北の空には、北極星が輝いていました。
<おしまい>
※ このお話は、フィクションか、いま流行りのマルチバースの出来事です。
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
そして3月18日、ヤマトならぬヤマト運輸さんが、お届けものを配送。
OM-1は外装を破って出てくる事はなく、リアルにちゃんと届きましたとさ。
つづく。
OM-1が来ました。 ― 2022年03月19日 08時00分
紆余曲折はありましたが(大げさ)
3月18日の発売日に、OM SYSTEM ”OM-1”(名前長っ)が無事、来ました。
最近あまりカメラ情報に触れてないのもあり
新しい会社になったOMからいつ最新機種が出るのかは
あまり気にしてなかったので、2ヶ月ほど前に
ノクチ=LEICA DG NOCTICRON 42.5を入れたばかり。
正直、費用的にも、お金を使い過ぎな感もあったりして
シャッターユニット交換=中身ほぼ新品なE-M1 MarkⅡの
現役続行も考えていたくらいなんですね。
とはいえ、E-M1Xをスルーし、マークⅢもスルーした事、
デジタル商品として5年以上経過したカメラも
そんなに長くは使えないかな?とか
AFぐりぐりボタンが使いたいとか
最後のOLYMPUS銘だとか、いろいろありますが
”OM-1”を冠するカメラが手元に来るのを想像する事で
なんとなくワクワクしたりする訳です(アホだな)。
オリから切り離されたOM SYSTEMが存続してくれなくちゃ困りますので
ここは一つ寄進を、いやお布施をさせて頂くつもりで、導入を決めました。
当初は、名前の変わらないOLYMPUSオンライン(オリオン)も検討。
しかし新会社になった所で、ポイントも消え、割引は1割。
さらに下取り業者の価格も、満足もいく額でもなく・・・
その中で、下取りに出すE-M1 MarkⅡの手続きや「先取交換」に誘われ
カメラ本体を初めてマップカメラさんで購入、という流れになりました。
(結局、下取り価格はだいぶ下がりましたけどねえ〜)
「オリンポスの女神」シリーズに揶揄して表現していますが
カメラ予約、先取交換の手続きまではスムーズでしたが
(サイトの手続きが進めないと不明な点が多くて、分かりにくいよ〜)
カード決済の段で、セキュアに弾かれるという初体験・・・。
カメラ本体価格と下取り値引き後価格の2つの与信が同時に掛かるという
システム側の影響から、VISAのセキュアなのか
(ヨドバシゴールドポイントカードも同じ現象)
三井住○のカードはリジェクトとなり、決済中断。
マップさんに確認したら、ちょいちょい起こる現象で
対応はカード会社で、との事(ムスカほど慇懃無礼じゃなかったけどね)
組み上げてしまったシステムは改変できないという事なのでしょうけど
与信が同時に掛かる事で、不正使用に間違えられるとは
それはお客様じゃなく、やはり向こうの問題なのかと思いました。
幸い、カードに書かれたデスク電話番号を見つけ
カード会社で処理して頂く事で、再トライした決済は完了。
発売日当日にはヤマトがちゃんと持ってくるという事で
後はマーク2をドナするだけ、と相成りました。
ということで、カメラを買うと天気が悪いジンクス発動。
下手なブツ撮りだけ実施したのでアップします。
おまけに液晶フィルムを頂いたのは良かった。
箱がデカイので、アレは入っているかと・・・
アレ=バッテリー充電器が入ってなんなんて、初めて。
取説は、なんて分厚いんでしょ。
実機を見てなかったのですが、想像より、高級感があるデザインでした。
バッテリーいれなきゃ「軽っ」て感じだったのですが・・・。
12-100mmPROを付けると、それなりの重量に。
グリップがマーク2より少し大きめ。
指が長い私でも、これは感覚が変わるので
馴染むのはしばらく時間がかかるかと。
しかし、だんだんE-5とかのサイズになってないの?
バッテリーが大型化しグリップ側でもあるので、なんとなく
右寄り重量バランスな感じもして、少しここがE-M1Xと比べるとダメな点。
(グリップ一体形のメリットはバランスと内部構造の配置余裕かしら。)
お約束のE-M1 MarkⅡとの2ショットを。
私には、どっちも贅沢品です。
しかし、マイクロになったOM系がここまで来たかという感じ。
後は、自分が写欲を増しマシして、撮影に臨めるか、ですね。
翌日は、朝から霧が発生。
低コントラストでも、AFの食いつきは悪くないと感じました。
真面目な試写は、また今度。
おつかれさまでした〜。
Xと1と、ダブル夫婦デートw ― 2022年03月20日 11時21分
昨日は「髪切り屋さん」で散髪の日。
その後、写友である「どこ。」さんと待ち合わせ。
あるブツをお渡しするお約束をかねて
これまた初めてである
夫婦×2組でお食事する事となりました♪
あるブツとは、PS5を手に入れた事で不要となった
ウチにある前機種の事。
当初は、買取業者にかな、という事も考えたのですが
丁度のタイミングで出物を探されていたということ。
お互い知った仲ということで、交渉成立と相成りました。
以前からご挨拶程度はさせて頂いた、両夫婦ですが
昔から知っていた様に、気が置けない雰囲気で
小一時間のつもりが、3時間ほど食事と会話を楽しめました。
どこ師匠は最近導入したE-M1Xを。
ワタクシは、OM-1を持参し、それぞれの利点を確認。
でも、きっと・・・
どこ。さんもOM-1に・・・
いずれは逝かれると予想しておきますw
実はモンスターハンターワールドなるゲームを
どこ夫妻はハマっているとの事で
「いっしょに狩ろうぜ」とお誘いを受け
いつも小島作品で「おもーい」ゲームばかりやってる
ワタクシですが、すでにDL購入済。
リアルだけでなくオンラインでも、交流が深まりそうです。
ということで、真面目な試写は
きっと「お散歩カメラ」で。
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