オリンポスの女神 ― 2008年02月08日 20時30分
美しい写真を撮るために、森を奥へ奥へと進む。
自然と一体となり、光と影を瞬間におさめる。
鬱蒼とした暗闇の向こうに、
光に浮かび上がった、湖が見える。
まるでスポットライトの様に、幾筋の光が湖面を照らす。
時を忘れ、シャッター音だけが響く。
何枚撮ったろう。
ここは、ひとつ望遠で狙ってみようか。
レンズを外し、カメラを抱きかかえる。
慎重に収めたら、交換だ。
「!」
ほんの一瞬、掴んだハズの鏡胴が指の間からすり抜けていく。
スローモーションにも見えた瞬間、
深淵の中にユラユラと沈んでいく。
「しっ、しまった」
あんなにも扱いに注意していたはずなのに
しっかり掴んでいたはずなのに
大切な道具を失ってしまうとは
がっくりとうなだれ、美しい風景はもう目に入らない。
眼下には、透き通っているはずなのに湖底も見えぬ蒼い水。
時間が止まる。
思考も止まった。
日は陰り、暗転していく。
どのくらいたったろう。
ふと気が付けば、湖面に1筋の光が見える。
その瞬間、青いベールに包まれた女神が立っていた。
神々しいその姿に思わず立ち上がる。
湖の妖精か?
神か?いや、女神だろう。
音もなく近づく彼女が、
水のように透き通った声音で尋ねた。
「そなたは、ここに何かを投げ込まなかったか?」
「いえ、大切なものを落としてしまいました。」
「そうか、落としてしまったのだな?」
「はい」
その瞬間、彼女は、黒い筒の様なものを手にしていた。
「で、そなたは、何をおとしたん?」
なんでか、大阪弁。
「ゑ?」
彼女はお構いなしに続ける、
「1.松レンズ ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4.0
2.竹レンズ ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD
3.梅レンズ ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4.0-5.6
そのうちのどれじゃ。」
「えええっと、松レンズの広角のいい奴ですっ」
「お前の腕では、まだまだ使いこなせまい」
チッ、ばれたか。
「すっすいません。魔が差しました。2の竹レンズです。
SWDの超音波モータがいい具合に作動するんです」
「そうかえ?(なんで日本風)
たしかブログで、ウチから少し借金して買ったと見たが?」
いっ、いつのまにネットでググってるんだ。
「すいません。1本売って、他を買おうと邪念が入りました」
「しかたないやつよ。ではお前の落としたレンズとやらは
この、300mmというやたら重いやつじゃな。」
「はい、そうでございます。ただ、ちょっと不具合がありまして
200mmくらいの所で、ちょっと動きが悪くなります。
買った時からそんな調子です。これって不良品ですか?」
しばらく考えた後、女神はこう宣った
「そうお前がいうのなら、新しいものを送りましょう。」
その瞬間、カメラにあの300mmが装着されていた。
全体的に動きがスムーズになっている。
これって、新品なんじゃ?
「あっ、ありがとうございます。1枚撮ってよろしいですか?」
「かまわぬが、肖像権は事務所を通してくれよ。」
え、なんでやねん。
虚を突かれているうちに彼女の姿が霧に包まれていく。
「もし、お名前は?」
「お前の好きな名で呼ぶとよい」
「ではこの湖の名前は?」
「湖? 何を申しておる。ここは沼じゃ」
こうして、ワタクシの300mm、ババから新品で帰ってきました。
おしまい。
(今回のブログは、9割がフィクションです(爆))
自然と一体となり、光と影を瞬間におさめる。
鬱蒼とした暗闇の向こうに、
光に浮かび上がった、湖が見える。
まるでスポットライトの様に、幾筋の光が湖面を照らす。
時を忘れ、シャッター音だけが響く。
何枚撮ったろう。
ここは、ひとつ望遠で狙ってみようか。
レンズを外し、カメラを抱きかかえる。
慎重に収めたら、交換だ。
「!」
ほんの一瞬、掴んだハズの鏡胴が指の間からすり抜けていく。
スローモーションにも見えた瞬間、
深淵の中にユラユラと沈んでいく。
「しっ、しまった」
あんなにも扱いに注意していたはずなのに
しっかり掴んでいたはずなのに
大切な道具を失ってしまうとは
がっくりとうなだれ、美しい風景はもう目に入らない。
眼下には、透き通っているはずなのに湖底も見えぬ蒼い水。
時間が止まる。
思考も止まった。
日は陰り、暗転していく。
どのくらいたったろう。
ふと気が付けば、湖面に1筋の光が見える。
その瞬間、青いベールに包まれた女神が立っていた。
神々しいその姿に思わず立ち上がる。
湖の妖精か?
神か?いや、女神だろう。
音もなく近づく彼女が、
水のように透き通った声音で尋ねた。
「そなたは、ここに何かを投げ込まなかったか?」
「いえ、大切なものを落としてしまいました。」
「そうか、落としてしまったのだな?」
「はい」
その瞬間、彼女は、黒い筒の様なものを手にしていた。
「で、そなたは、何をおとしたん?」
なんでか、大阪弁。
「ゑ?」
彼女はお構いなしに続ける、
「1.松レンズ ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4.0
2.竹レンズ ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD
3.梅レンズ ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4.0-5.6
そのうちのどれじゃ。」
「えええっと、松レンズの広角のいい奴ですっ」
「お前の腕では、まだまだ使いこなせまい」
チッ、ばれたか。
「すっすいません。魔が差しました。2の竹レンズです。
SWDの超音波モータがいい具合に作動するんです」
「そうかえ?(なんで日本風)
たしかブログで、ウチから少し借金して買ったと見たが?」
いっ、いつのまにネットでググってるんだ。
「すいません。1本売って、他を買おうと邪念が入りました」
「しかたないやつよ。ではお前の落としたレンズとやらは
この、300mmというやたら重いやつじゃな。」
「はい、そうでございます。ただ、ちょっと不具合がありまして
200mmくらいの所で、ちょっと動きが悪くなります。
買った時からそんな調子です。これって不良品ですか?」
しばらく考えた後、女神はこう宣った
「そうお前がいうのなら、新しいものを送りましょう。」
その瞬間、カメラにあの300mmが装着されていた。
全体的に動きがスムーズになっている。
これって、新品なんじゃ?
「あっ、ありがとうございます。1枚撮ってよろしいですか?」
「かまわぬが、肖像権は事務所を通してくれよ。」
え、なんでやねん。
虚を突かれているうちに彼女の姿が霧に包まれていく。
「もし、お名前は?」
「お前の好きな名で呼ぶとよい」
「ではこの湖の名前は?」
「湖? 何を申しておる。ここは沼じゃ」
こうして、ワタクシの300mm、ババから新品で帰ってきました。
おしまい。
(今回のブログは、9割がフィクションです(爆))
コメント
_ 時計好き ― 2015年05月23日 17時41分
_ MOTO ― 2015年05月23日 19時07分
あら、ずいぶん前のスレにコメントを(笑)。
これ70-300mmの初期不良(ババ引き大魔王)の時の話題です。
アマゾンで買って、オリンパスで初期不良という(爆)。
勢いで書いてましたけど、今読み返しても
秀作だったと自画自賛(笑)。
これ70-300mmの初期不良(ババ引き大魔王)の時の話題です。
アマゾンで買って、オリンパスで初期不良という(爆)。
勢いで書いてましたけど、今読み返しても
秀作だったと自画自賛(笑)。
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人に歴史あり?MOTOさんの違う一面をみたような気がします。
コメントしてよかったのかな(笑)えいっ。