助けてもらって文句言う奴はだいっきらいだ(ネタばれ)2007年09月22日 23時00分

ゲド戦記
ツタヤ更新に合わせて、エヴァンゲリオンとゲド戦記を借りた。
エヴァの方は、10年前の夜中に録りダメしたもの(VHSね)
を何故か一気に見たあと、映画版DVDを鑑賞。
映画館でレイトショーで見たっけなあ。
以前より内容が理解できた気もしたけど、やっぱり結論は
「ありゃ、イデオン」だよな、という最終的な感想は変わらない。

で、期待していなかった「ゲド戦記」だが、アマゾンの酷評通り
これで、ジブリコレクションは無いだろうと思った感想を・・・。
(本来、黙殺してもいいのだけれど、あまりにもあれなので)

テーマとしては、「命の大切さ」をたぶん全面に出したかった
のだと思う。主人公の心の闇の大きさや「死があるから生がある」
所から、「自殺」を考えてしまう、今の子どもたちへの
メッセージともとれる。

TVCMでがんがん流れていた「命を大切にしないやつは大嫌いだ」
という、ヒロイン・テルのセリフなのだが、これは、主人公の
アレンが、憑依状態とはいえ「命を賭して」守ってもらった
後にテルがアレンに言うのだ。
・・・守ってくれた人に対して吐く台詞じゃねえよ。
(ていうか、最終的に、何故こんなことが言えるのか、彼女の正体
 を知れば、自分でなんとかなったのだねと、理解もできるのだが)

小林よしりんも「ゴーマニ」の欄外か何処かに書いていたが
このセリフ、「生きていさえすればいい」って、戦後のサ●●思想
そのものじゃないのか。
ま、自殺しそうな世代に、なんとか伝えたい気持はわかるけど、
『「命より大切なもの」なんて無い』的な思考じゃ
命の大切さなんて伝わらないと思うけどね。
「命を大切にする」<<「命を賭してまで守るべきものがある」
こう考えるのは、もう古いことなんですかね。

それに、主人公がストーリーの初っ端で、親父を殺すのも
気に入らない。彼の心の闇を象徴したいのだろうし(Wikipedia
では、プロデューサーの一声で決まったのらしいが)後になっても
ストーリー的に、彼の行為の理由まで言及されていない。
結果的に、なんだか「しかたなかった」「罪を国に帰って償う」
みたいな感じで、正当化されている様にしか感じられない。

親が子を、あるいは子が親を殺すのは、TVのニュースでは
当たり前になって、マヒしているのであろうが、戦国時代の
策略じゃあるまいし、「正当化されていい事」とは到底思えない。
監督は否定しているが、どうみても「親父に対するコンプレ」の
象徴に思えてならない。

名前をモチーフにした一種の「呪」は、すでに「千と千尋」
でやった話しだし、最後の最後まで何故、あの伝説の生き物が
関わっているのかもわからず仕舞い(´ヘ`;)。

ストーリーはともかく(ていうか、もう話しにならんから)
ジブリとしての品質はどうか?
これも、はっきり言ってどうかと思う。

背景も演出なのかわからないけど、かなり甘い描き込み。
作画に至っては「動き」が悪すぎる。
特に、冒頭の、主人公がハイエナ?に襲われるシーンなんて
酷いものだ。乗っているガーゼルみたいな馬の動き、ハイエナの
逃げまどう姿・・・。「もののけ姫」と比べて見たらいい。
だいたい、宮崎駿監督本人は、もともと筋金入りのアニメーター。
監督になっても、動画チェックしている位、動きにはこだわる人。
場合によっては、金田伊功のような「動きにつよい」作画担当も
つれてきていたくらいだ。

じゃ、声優陣はどうか?
もうはっきり言って、下手くそな俳優は使うのは辞めて欲しい。
「もののけ」の辺りから、俳優をかなりの割合で当てているが
声がわかった途端、顔が思いだされて、想像してしまうのだ。
敵役のクモは田中裕子そのもののだったので、ハウルの美輪さん
的である意味驚いたのだけど・・・。

過去ジブリ作品で、上手いと思った俳優陣
松田洋治:アズベル(ナウシカ)、アシタカ(もののけ)
美輪明宏:モロ(もののけ)、荒地の魔女(ハウル)
木村拓哉:ハウル
くらいかな。
倍賞さんが若いソフィーて相当無理があったもの。

全然関係ないが
ハインツじゃない、ウエンツ瑛士のミツルと松たか子のワタル
のブレイブストーリーの方が、全然上手くて良かったぞ。

ていうわけで、ワタクシとしては、カリオストロ以降の
ルパンを認めないと同様、この日テレの商業映画は
ジブリとして、どうかと思う次第です。
・・・ていうか、無理に世襲させなくても、いいと思ふ。

今回かなり辛口。失礼いたしました。