オリンポスの女神 Xの称号2020年12月15日 22時36分


今年もそろそろ終盤。師走に入った。
振り返れば、自粛、自粛と騒がれた年だった。

仲間との写真撮影も、昨年末以来だし
まともにカメラを持って能動的に出かけたのって、紫陽花くらいじゃないだろうか・・・。

iPhoneの買い換えに伴い、ジンバル雲台的な「DJI OM4」なんてモノを買ったから
久々に定点観測地点、森林浴もできるこの場所へ。

<写真はイメージです>

秋も終わり、季節は冬に。

ハラハラと落ちてくる落葉樹。森のあちこちから、サラウンドの様にザワザワと音もする。

少し遠くには、鳥の声だろうか。このさえずりは、モズかしら・・・。


iPhoneとOM4で動画を撮影していたが、さすがに携帯の望遠では限度がある。

森の上空を探すが、その姿は見当たらない。


「野鳥撮影に興味があるようぢゃな?」

低いけど人懐っこい声音。これは何処かで聞いた声?


振り返ると、藍色の作務衣に頭には紺色の手ぬぐい。

その顔には、布製の青いマスク。しかも右半分には金色の刺繍で「志熊」の文字がっ。

しっ、志熊老師。ていうか、読者のみんなも、そろそろ出てくると思ってたよね?


「その板べっこでは撮れまいて」iPhone12Proを板べっこと呼ぶんじゃない。

「いや、撮ってた訳ではないんです」まあ、動画だけどな。

「うむ、撮るなら、長玉が必要じゃな」聞いてないでしょ、人の話。


おもむろにカメラを構えると、高い樹の上に向かって連写。

手にしているカメラはなぜか機種名もブランド銘も見えない。

車のFX機と同じ様に、ワザと消してあるのかな?


形はOM-Dにも見えるが・・・良く見ると、小さな車のキー形状の様なモノが。

「動くモノを撮るなら、長玉だけでなく、これも無いとな」と👇指さす老師。

「そ、それ、なんなんですか?」よせばいいのに聞いてしまった。


老師はニヤりと微笑むと機材背面の「OPEN」ボタンををおもむろにスライドする。

音もなくせりあがる機構の中にブルーのスクリーンと目標物を捕捉するであろう

○に+のマークが浮かび上がった。



「ドットサイトぢゃ」しみじみと語る老師。

 ん?聞いたことあるぞ。

「あ。エアガン持ってた時に買おうとしたヤツだな。

  Glock 26コンシールドキャリーにライトと付けたかったぁ(遠い目)」


一時期エアガンをアホみたいに買ってた時期があった。

でも、サバゲーやる訳じゃなく、ガスで動くリコイル・アクションにハマってたっけ。


そんな事は御構い無しに撮影に没頭する老師。カシャ、カシャシャシャシャ・・・

お、どうした今日は?

何かお薦めしてこんのか?


様子を伺っていると、ファインダーを覗きながら

ドットサイトも同時に視野に入れている感じ。いわゆる両眼視というやつか。


あれ、何やら呟いてる・・・。


「ターゲットスコープ、オープン。電影クロスゲージ明度20。対ショック、対閃光防御・・」


マスク越しにフガフガ喋っておられる様で、正直なんのことやら分からない。

あれだ、これ、やばい人だ。

そうっとその場からフェイドアウトしかける。


「ヤマトぢゃ」眼光鋭く、力強く、その言葉を言い放った。いや、その目でみないで。

「いやまだ注文してないですけど、配送は◎ガワよりはヤマトさんの方がいいです。あ、いやっ」

「ばっかもぉ〜おん」いつもの波平節が!

ああ、マスクしてくれてて、飛沫防止で助かったよ。


「波動砲を知らんようぢゃな」目を細めたな。莫迦にしてるな、これ。

「アンドロメダの拡散波動砲はイカしてましたね。白色彗星にすぐやられちゃったけど」

老師の瞳に嬉しそうな輝きが。

「あ、でも鳥はあんまり撮影しないんで」視線と話題をそらす。


「この作例はどうじゃ」カメラの再生モードからカワセミの餌取りの瞬間の画像が表示された。

「凄いですね。この機材で?」

「おおぅそうよ。これはなWebサイトに載ってたやつはでな」

あんた、それDLしたんかい。

相変わらず喰えないジジイだな(←失礼)


「鳥に興味がないか。では汽車は?車は?」汽車ってね、無限列車じゃないんだから。

「いやあ、あえて撮るなら競走馬ですかね」今年は緑のターフにすら行けんかったorz

「ほほう」しまった、誘導尋問だ。

「それでは決まりじゃな」いや買いませんよ。


ここから怒濤のお薦め攻撃かと思いきや・・・

「この先の神社に参拝するが良い」話題が変わってしまった。


「神社?」

「うむ、遷宮が決まってな。参拝できるのも年内限りぢゃ」

クルリと踵を返すと背中越しに軽く手をあげて行ってしまった。鼻唄を歌いながら。

「さらばぁちきゅうよお。たびだーつふねわあ ♪ 」

今日はやけにあっさりだったな。

老師の後ろ姿を見送ったら、お薦めされた神社に向かった。



しばらく進むと、前に来た感覚。

あのイベントを見逃した所ぢゃないかな。

『高千穂峰 御凜蓮神社奥宮』やはりあそこだ。


社務所らしき所に巫女さんがいそうだ。声を掛けてみる。

しばらくすると巫女装束の女性が。

真っ白いマスクに、金の刺繍で「麗華」の文字。

そのマスクどこで売ってるんですかい?


聞きたかったけど、遷宮について尋ねる。

巫女さんは静かに説明してくれた。

「今年の疫病の為に参拝の方も劇的に減りました。

元々街中から離れております故、神社としても厳しくなりました。

近隣の地権者がこの一帯を再開発することになり、神社自体の遷宮、

あるいはこの場所の建物の中に新たに社を残すかどうかの協議中でございます。」


再開発エリアなら実際にある話だけど、こんな場所でも?

経営の見直しから土地の譲渡に至ったのかも・・・だな。


「それは残念ですね。由緒正しき神社に見えますが。皆さんはどうされるのですか?」

「わかりません。ただ、ワタクシは元々研修に来ていた身ですから、

 多分そちらに戻ることになろうかと・・・。

 今年限りでございますので、ごゆっくりご参拝下さいませ。

 きっと何かしら見つけられる事もありましょう。」


丁寧にそう告げられると社務所に奥に戻って行った。

どこかで見た女性だな。名札には「NOCTI_42.5」の文字がチラリとみえた。

なんの記号だろうか。


社務所を抜け、奥に進む。

深々と蒼い水をたたえた池の中央に小さな島があり小さな建物がある。

その正中線を通る正面に鳥居⛩が。


賽銭箱はない。御神体はこの池そのものだろうか。

深々と頭を垂れ、二礼二拍手。

目をつぶると静寂に包まれる。


祈りを捧げている間、囂々と風の音。

遠雷らしき音も聞こえてきた気がした。


 立ちこめた霧の中、池の中央だけがぽっかりと晴れている。
 先ほどの島の所だ。
 青白い光。そして白い衣に包まれた女性が、腕で胸を抱くような形で静かに佇んでいた。

 「わらわを呼び寄せたのはお前か」いや、呼んでないです。召喚してません。
 このシチュエーション何度目だろう。懐かしい様な、でも今だ慣れない感じ。
 
 良く凝らして見ると、そのご尊顔には、朱色のマスク。
 そして金色の刺繍で『御凜蓮」の文字。おりんはす? 
 なんにせよ、感染対策はバッチリされている様だ。

「いえ、召喚はしておりません。遷宮されるとお聞きしたので参拝に」
「そうか。良い心がけぢゃ」

「あれから2年、お主の腕もある域に達したであろうな?」おもむろに身辺調査ですかい?
「あれからって、今年1年ほとんど写真撮ってませんよ、コロナ禍なんで(´ヘ`;)」
「えっくす」
 女神?様は胸を抱くように回した手を目の前に交差する。
  ゑ? また、スペシューム光線ですか?
「えっくす」・・なんだ、Xか。外国人と身振り手振りで会話してるみたいだな。
「・・・そのXが何か?」

 「2019年2月発売。LiveMOSセンサー2037万画素。ダブルTruePicⅧ搭載・・」
 さらに続く・・・
 「手持ちハイレゾ・ライブND・AFマルチセレクター・縦位置グリップ一体構造、そして・・」

「そして?」思わず引きずりこまれた。
「いまなら、なんと、1割8分の還元っ」どどーんと落雷が。
あのXが、なんと18%引きに?
友人(どこさん)と出かけたCP+で、モデル試写させてもらい
OM-D EM-1X+M.ZD12-100mmPRO の組み合わせは、意外にバランス良く、軽く感じたっけ。

でもな、あの筐体は大きいんだよな。
縦グリ一体はいいけど、ブサイクすぎる(←あくまで個人的な意見です)。

「気になってるであろう」
「な、なんで分かるんですか?」さては検索したな?
「お主のブラウザの びすけっと とやらをみたのじゃ」び、ビスケット?
「びす?えっ、なんですって?」

さっと懐から懐紙を取り出し、少し間を置いてから言い直した。
「お主のブラウザの「くっきー」をみたのじゃ・・・志熊のやつめ、字が汚いぞっ」
カートに出し入れしてたのバレちゃったな。

「ぷれみあむ会員なら、2割5分の割引じゃぞ」どどーん。さらに雷鳴が響く。
な、なんと25%?しかもあのXが15万円とは((;゚Д゚))ガクガクブルブル 
仮にマーク2をドナれば、実質10万円ぢゃないか!?。こ、心が揺れる。

「どうじゃ、今年限りの大盤振る舞いぞ。ここは1つ我が社(やしろ)復興のため、お布施を!」
大幣を持った両手を高々に掲げる女神? ていうか新興宗教ぽくなってきたな。

「うーん」
「うーんとな?まだ悩む事があろうか」押してくるな、今日は。生活が掛かってるんだろうか。
 
「いや、ですね。やはり私には宝の持ち腐れ。
 E-M1 Mark2がありますし、シャッターユニットを交換して1年。
 ほんとうに満足に写真撮影できてないんです。それにXは大きすぎます(きっぱり)」
 女神?からの誘惑をなんとか断ち切る。

しばらく目を閉じている女神?
瞑想しているかの様子だが、閉じた瞼の下で、目が動いている。 
 レ、レム睡眠か? ね、寝てんの(デジャヴ)? 

「みえるぞ、見えるぞ」え、なにが?
「数じゃ、数が見えるぞ」なんのことかな?
「お主の数字、9が見える」
「え、はい。誕生日月は9月ですけど」ま〜た検索したでしょ。個人情報保護ですよ。

「お主に問う・・「あると便利だけど無くても困らないモノ」とはなんぞや」
「え、なぞなぞですか? それとXとなんの関係が?」
「その大きさが問題なのであろう」
「ええ、まあ」
  
「1つの妙案が浮かんだぞよ」
「ある時はX。ある時はそなたのマーク2。さすればXと同じ取り回しになるモノじゃ」
「お、ああ、そうか。バッテリーホルダですね。前も買おうとして辞めてました」
さては、こちらも検索履歴をみたのか?
 
「9・・・HLD-9。お主のための番号が付いておる」こ、こじつけだな、こいつ。
「まあ、たしかに、これを付ければ操作的には、だいたい同じになりますね」
「そうよ。モノは考え方しだいじゃ。」満足げの女神? ていうか、買わせるつもりか?
「合体の暁には、Xの称号を名乗るが良い」いや、それは恥ずかしいです。

「あ、思い出しました。」1つ買わなきゃいけないものがあったよ。
「なんじゃ。いうてみよ」
「アイカップありますかね?」
しばらく、黙り込む、女神。胸を押さえながら、急に怒り出す。

「ざ、戯れ言をっ、そんな風に見えるかっ、この戯けものっ」なんで顔を赤くしてますの?
「え?eyeカップですよ。EP-13だったかな。ロックが壊れて、外れ易いので新調したいんです」
「あ、ああ。そちらの事か。うむ、あ、あるぞ。」なにと勘違いしたのかな?

必要なモノはそんなところだろうか。
神社もなくなるかもしれないし、ここは1つお布施するか。
  
「ところで、そのマスク、どこで売ってるんですか?」ちょっと聞いてみた。
「いや、皆さん素敵なマスクをされている様で。志熊、麗華、いろいろなバリエーションが・・。」
 社務所に売ってるなら、1つ購入したい。瑞光はないかしら。
「ひ、非売品ぢゃ。それに、手作りであるぞ」急にモジモジしたりして、意外だな。

気を取り直した様に、スッと直立すると、こう告げられた
「会員番号は34XXXXXX。お主の望みは聞き入れた。
 先ほど志熊からの伝達で、標準機(ドットサイト)もカゴに入っておるからな。」
 カゴってカートの事ですかい?

「え、知らない間にっ」老師め、道理であっさり帰った訳だ。
「これにてお主の望みをすべて聞き入れた。しかるべきお布施をぉ〜」

再び、天空から一筋の光が。
女神?さんが光の中に消えて行く。

「お主がその窓(←ファインダーね)を覗く時、我はそなたと伴にある。
 思いのままに撮るのぢゃ、撮れっ。思いのままにぃ〜」
ドラマ仁に出てくる「佐久間象山」センセみたいだな。

「May The Forthirds Be With You...Always...」
最後はオビワンみたいなセリフと伴に彼女は消えた。
 
 気がつくと、手を合わせたままの自分がいた。
 目をあけると、蒼い水をたたえた池が、陽の光に輝いていた。

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いよいよ、オリンパスからカメラ事業が切り離されると言う事で
オリンパス・オンライン(オリオン)も今年限りとなりました。

E-M1Xの導入も悩みましたが思い留まりましたよ。

ということで、最後のお買い上げはこちら。


数日して、ヤマト(爆)さんがお届け。

ついに、E-M1 MarkII-Xの誕生(爆)です。<ロゴに注目w>

果たして、このシリーズは如何に?
再び女神?さんや志熊老師にあえるのでしょうか。

ひとまず、お疲れ様でした。