オリンポスの女神 〜V+V〜2019年09月28日 23時18分


『しばらく写真、撮ってないな』
そんな事を思いながら、夜の帰宅を急ぐ。

2時間近く掛かる通勤時間・・・。
寄り道もしたくないし、いつもなら真っ直ぐ帰るところだが
ふと、量販店のカメラコーナーに立ち寄る事に。

今日は金曜日。
明日から休みかと思えば、金曜の夜から休みが気がしてくる。
街の景色なんて、意識が変われば、違う風に見えるのだから
不思議なモノだ。

PEN-Fを買ってから、新しいレンズも買ってないし
新しいネタを探しに、という事もないけど、なにかあるかもしれない。

携帯コーナーを通過して、上のフロアに。
夜8時を過ぎた量販店なんて、人影もまばらなものだ。

カメラコーナーの入り口に量販店主催の「大モデル撮影会」とある。
なになに・・・『日本を代表する写真家も参加か・・』 ・・・

以前、個人数名でモデルを撮影しているのを見た事が
あるけど、自分には人物撮影の経験も無いし、縁がないよな。

ふと、その立て看板を食い入る様に見入る、屈強な男性が1人。
柔道着の様な素材の作務衣とも思える上着に袴の様なズボン。
紺とも黒とも見えるその背中には、金色で「瑞光」の文字が輝く。
ふーむ、メーカーさんからの応援かしら?

ちょっと横から覗いてみる。
相変わらず食い入る様に見入る先には、そのアタマで見えなかった
「総勢32名の人気モデルが登場します!」の文字がっ。

大きい袖に両腕をツッこんで、腕を組むように
眉をひそめながら、しかし凝視して、微動だにしない。
し、真剣ぢゃないか。

しかし、その横顔には、たしかに見覚えが。
あっ・・・志熊老師ぢゃなかろうか。

しかし、こんな街中で?
農協の帰りかなにかだろうか?
いや、気がつかない方がいいな・・・
そろりそろりとその場所を離れる。

「むむっ、そこのおぬし」
やべっ、気がつかれた。
「おぬしの好みは、どこ子じゃ?」唐突に聞いてきますの。

「は、はい?」
「この32人の中で、どの子が好みかと聞いておる」
「は、はあ。そうは言っても写真が小さいですよね。
 しかも上の段はちょっと大きいけど、下は小さめだしぃ」

「うーむ確かにそうじゃな。ぷろふぃぃ〜るが書いてないしな」
ポスターには、モデルの写真もあるが、正直美人だかどうだか不明。

「どうじゃ?」
「はい?」
「興味、あるぢゃろ?」少しニヤっとしましたね、今?

「え、まあ」視線をそらす。
「ワシも先ほどから悩んでおる」 ゑ?
「はあ。じゃあ、申し込めば如何でしょうか?」相談されてもですねぇ。

「かれこれ、2時間になるかの(遠い目)。」 暇だなっおっさんっっ。
「お、悩み抜いてるんですね・・・」大人の対応をしておきます。

「うむ、当日は親戚の集まりもあるしのぉ。今月はキャンセルするかだな」
いや、どうぞお好きに。

「おぬしも、早く申し込むが良いぞ。」 お店の人ですかい?
「いや、私は。CP+でも、モデル撮影トライしましたけど
 何をどう声掛けすれば、よくわかんなくて」

まあ、ナンパくらいできる人が、こういう撮影会には向いてるよな。
(という、かなり個人的かつ偏った意見ですw)

「じゃが、あれだぞ。ここのメリットはな」声が小さくなる。
「はあ?」
「モデル撮影なんだから、捕まることが無いっちゅうことぢゃ」(達観)
つ、捕まった事あるんですか?(あるでしょ?)

このまま付き合ってたら、夜の居酒屋に付き合わされそうだ。
そうそうに撤収。
まだ悩んでいる志熊老師らしき人の背中を他所に、店を後にした。

                    ★★★

遅寝もできたけど、ちょっと自然公園まで散歩へ。
撮るモノはないけど、カメラも持っていくか。
OM-D E-M1 MarkⅡ+M.ZD 40-150mmPROで。

丘陵地帯から、茂みを抜け、森の先へ。
まだ秋に成り切ってないけど
少しずつ、木の葉の色も変わりつつある。

最近の天気は変わりやすい。
天気予報も当てにならないな、午前中は晴れと言ってたのに
もう、なんだか雲がでてきてる。

森の先の湧水地を見たら、早々に帰ろう。

あ、ポツポツと雨が降り出したよ。
CP+で貰ったポンチョ、カメラバッグに入れたままだったか?

ちょっと先の東屋に入ると、ポンチョを取り出す。
ま、使わないで雨が止むのを待つかな。

雨が少し強くなってきた。時折り、雷の音。
いや、これ、夏の天気だよね。

ザアーという音。草むらに跳ね返る水。
まあ、防塵防滴だから良いけど、ちょっと寒くなってきた。

10分程経っただろうか。
雲間から晴れ間が。雨もそろそろ止みそうだ。

一筋の光が、湧水池に差し込む。
いわゆる天使の階段だ。

しかし、周りにはもやというか霧。
ふと人影?眼を凝らすと・・・いや、見た事があるぞ。
そこには、青と白いベールに包まれた女神が立っていた。


うむ、気がつかないフリをしよう。
これまでの経験から、私のゴーストがそう囁くのよ。

「モデル撮影会に申し込んだのは、おまえか〜」
テレパスか何かか分からないけど、たしかに声が聞こえる。

「い、いえ。申し込んでいません(きっぱり)」 

「なぜ、志熊の誘いを断ったのか」 
なにゆえのクレームですか?

「いや、断ったつもりは。モデル撮影なんて、興味ありませんから」
「ウソをつけ。志熊から聞いておるぞ。」

相変わらず、報連相ができた会社だな(え、違うの?)

「風景撮影だけでは、写真の技術も未熟なままであろう」
なんで見透かしているんだっ。
「ど、どうしてそれをっ」 エンパスだな、このノウリョクっ?

「まあ、良い」 い、いいんですか?
「おぬしの、心の声が聞こえた」 は、はあ・・

「モデル撮影、花マクロ、そして、ブルー」
「ぶ、ブルー?」
「青い衝撃」 インパルスの事ですか?

目をつぶる女神。
瞑想しているかの様子だが、閉じた瞼の下で、目が動いている。
レ、レム睡眠か? ね、寝てんの(デジャヴ)?

そして、おもむろに、右手を挙げる。
前に突き出すと、指が2本・・・Vの形だ。
「ぴ、ピースですか?」

すると、物静かに、今度は左の手が。
そして、また2本の指でVの形。

「え、VとVで・・・記念写真を撮れと?」
「た、戯けものっ」 遠雷が響く。今日は小さめだね。

「す、すいません」
カメラを降ろす。撮っても心霊写真か(爆)?

「V+Vで、Wぢゃ」
「だ、ダブル?」

「2倍。そう、お主のそのレンズの能力を高める筒ぢゃ?」
そ、それ、また押し売りじゃないですかね?

「モデル撮影、花マクロ、ブルー・・・最適な『そりゅーしょん』ぢゃ」
よ、横文字ですよね?

「いや、MC-14は持ってるので、MC-20は不要と思ってたんです」

少し眉間にしわを寄せ、そして静かに言った。
「思い違いも甚だしいやつめ。12-100PROは何ミリじゃ」
「100mmがテレ端です」キッパリ。

続けざまに、女神が問います。
「40-150mmはどうじゃ」
「ですから、40-150mmかと」 当たり前でしょ。

「では、2倍になったら、どうじゃ」
「80mmから300mmかと」
「まだ、気がつかないか・・小学生の引き算ぢゃ」

100-40は60mm・・・100ー40×2は20mm・・・、むむ、そそうか!

「その差が20mm、2つのレンズの繋がりが良くなるという事ですか!」
「正解っ!」音はしないが、雷光だけがピカピカと光った。

「会員番号は34XXXXXX。今なら『予約』が可能ぢゃ。
 なんとか、撮影会には間に合わせようぞ」

今回も、個人情報は保護されているけど、まだ買いませんよ。

「今なら、ポイントも使えるぞよ、すぐに撮影会も申しこむぞよ」

「いや、そんな、強引な」
「消費税も8%ぢゃ〜」光が強く差し込んできた。晴れてきたのだ。

女神の姿が消えると、メールの着信が。
オリンパス・オンラインから予約完了のメールだ。

ちょっと強引だったけど、たしかに望遠との繋がりは良くなる。
撮影の幅も広がりそうだ。
これを機会に、ちょっと違う事にもトライするかな。

気分を新たに、水辺を後にした。

                    ★★★

ということで(どういう事?)
MC-20、遅ればせながら、ゲットしました。

190921-001

190921-003

190921-004

190921-005

190921-006

いや〜、このシリーズ書くの、結構大変だわ。